さかな食堂

近況報告です。なんか作ったりどっか行ったりしたことを書ければいいなぁ。

食堂

変な時間にベッドの上に転がって、未明に起きてしまったので、こんな時間ですが、「かもめ食堂」を観ておりました。最近「観たい観たい」と思っていたので、この間TSUTAYAで借りてきました。消費税上がっても1本108円。すごく気軽に観れるので嬉しいです。

 

この作品を観るのはこれで3度目です。友達に好きだと思うと言われて勧めてもらって、本当に好きになりました。知っている人は知っている、そして何度も繰り返し観てしまう名作ですね。小林聡美さんは本当、自然な演技がうまい人だなとしみじみ思います。合気道のシーンを見ていても、すっと芯が通っていて、清潔で、健康的で、憧れる人も多いかと。見ていると背筋が伸びます。

 

そういえば、このブログの名前をさかな食堂にしたのも、元をたどればこの作品の影響があったと思います。見た感じ、影響というかまんまやがなですが。

元々、私はあまり食堂というのが好きではありませんでした。レストランや喫茶店に比べて、ゆっくりする目的ではなく、ただ食べるだけのところ、がらんとしていて寂しくて、質素な机とパイプ椅子、そういうイメージが強かったのです。

何かを食べたり飲んだりしているときにある特殊な落ち着いた空気が好きで、落ち着きたいときは何か食べるか飲むかします。飲食が外でできる飲食店というのは面白いところですね。お金を払って、そこにいる権利をもらって、食べたり飲んだりして落ち着く、誰かといるならそこで会話をする、特に喫茶店にはそういう空気が強いかなと思います。なので、食べて終わり、なイメージがあった食堂は苦手でした。

 

ですが最近は、シンプルに食べるだけ、というのにも興味が湧いています。食べるという行為そのものにリラックスできるものを感じるようになってきました。

食べるというのは、取り込むということで、何を取り込むかを選ぶことで自分を作り変えていける行為だと思います。さらにそれを他人に作ってもらうということに、別な意味も生じてくるように思います。

それを本当にシンプルに行える食堂という場所も、だんだんと好きになってまいりました。その最初のきっかけになったのがこの作品でした。

 

もう一つ、このブログの名前に「食堂」という言葉を使った直接的なきっかけとして、古川本舗の「月光食堂」という曲があります。

古川本舗は、何年も前に名前をよく聞くことからファーストアルバムをなんとなく入手して、なんとなく聴いていたら、ある日すごく好きになっていることに気づきまして、今もその音楽に魅了されているユニットです。

セカンドアルバムのあたりから、「食事」が大なり小なりモチーフに加わっている曲がいくつかありまして、「月光食堂」もそのうちの一曲になります。

曲の完成度の高さやボーカルの繊細さに支えられて、世界観がいっぱいに広がって感じられる曲で、そこに「食堂」という名前があてられているのがなんとも言えずいいなぁと思い、このブログの名前にもいただいた次第です。

 

つい最近、私が最も注目し続けているミュージシャン、米津玄師のセカンドアルバムが発売されました。実名で活動し出してからは2枚目、メジャーデビューしてからは初となるアルバムです。

その中に、「メランコリーキッチン」という曲がありまして、食事を作ってくれるパートナーに向けた曲になっています。「かもめ食堂」を久しぶりに観たくなったのも、この曲を聴いていたときでした。

 

米津さんが以前、作ったものが形に残らず食べて終わり、な食事はあまり興味が湧かなかったけれど、これもコミュニケーションの一つだろうかと最近は思う、というようなことを言っていて、強く共感したことがあります。

私は元々、料理方面にはほぼ全く興味がありませんでしたが、食べることを通した繋がり、そこにある空気に目が向いて、今ではそっちの夢を抱いて仕事にも取り組んでいます。料理は夢に伴って勉強し出したもので、まだまだ基礎も覚束ないですが、最近ようやく少し楽しくなってきました。もっといろんな美味しいものを作れるようになりたいと感じ出しています。

 

美味しいものを食べたり飲んだりできるシンプルな楽しみと、誰かと過ごす時間が確かにそこにあるのが感じられる、そんな店をいつか必ず作ろうと、「かもめ食堂」を観ながら今朝もまた思いました。